受け継がれる命

「いい天気ね~。」

「そうだね。」

桜も散って、新緑が眩しい季節。

鬼太郎とネコ娘はゲゲゲの森にある丘へと訪れていた。

「お弁当でも持ってくればよかったね。」

そう言って、色鮮やかな芝生の上にゆっくりと腰を下ろしたのはネコ娘。

「そうだ。」

思い立ったように靴を脱ぎ素足で芝を踏むと、サワサワと足の裏を擽られるようだった。

「ふふっ、くすぐったいけど気持ちいい。」

そんな様子を眺めていた鬼太郎が、ネコ娘の隣に腰を下ろす。

「ほら、直に座ったら腰が冷えるよ。」

そう言って、ネコ娘の身体をそっと引き寄せ、自分の足の上に座らせる。

「もう・・・、少しくらいなら平気よぉ。」

照れくさいのか眉を下げるネコ娘の耳元に、鬼太郎が唇を寄せる。

 

「ひゃっ、くすぐったいったらぁ。」

「今は君一人の身体じゃないんだよ?」

「わかってるわよぉ・・・。」

 

地獄の鍵を授かり、敵対する妖怪たちとの闘いに明け暮れていた頃から100年と少し。

二人はすっかり大人へと成長し、いつしか恋人となった。

恋人となってからも順調というわけではなかったが、今はこうして夫婦として暮らしている。

二人の間に新しい命が宿ったのはすぐのことだった。

それも、砂かけ婆によれば双子だという。

 

「そういえば、名前は決めたのかい?」

「うふふ、もう決めてあるわ。」

「どんな 名前だい?」

「それは生まれてからのお楽しみよ!」

「ははは・・・・、そう・・・。」

「うふふっ・・・・、でもきっと、鬼太郎も気に入ってくれるわ。」

「・・・・・そう、じゃあ、楽しみにしておくよ。」

「うんっ。」

 

 

出会えるのを楽しみにしているよ

僕たちの命を受け継ぐ君たちに・・・・・

 

 

 

 

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