ずっと、永遠に

 

 


「お疲れ様でした~!」
いつものように笑顔でバイト先を後にして、ネコ娘は家路についた。
手にした袋にはもちろん、あの親子への土産が入っている。
二人の喜ぶ顔を想像すれば、自然と足取りも軽くなる。
帰り道、横丁の入口へと続く路地の手前には公園がある。
ネコ娘はなんとなしに公園の中へと目をやった。
するとそこにはよく知る栗色の髪が見えた。
「あれ?鬼太郎・・・?」
何か事件でもあったのだろうか?
用がない限り人間界には姿を見せない鬼太郎が、一人公園に佇んでいる。
ネコ娘はすぐに鬼太郎の元へと向かった。
「鬼太郎~!」
そう呼べば、鬼太郎はこちらを振り向いた。
「やぁネコ娘、バイトの帰りかい?」
そう言った顔は笑顔だった。
事件ならばもう少し険しい表情でもおかしくない。
「あ、うん。鬼太郎はこんなところで何してたの?」
そう素直に疑問をぶつけてみれば、信じられないような答えが返ってきた。
「あぁ、彼女とデートの待ち合わせしてるんだよ。」
「へっ?彼女・・・?」
あまり表情を崩さない鬼太郎が今は嬉しそうに笑っている。
そんな想い人を前に、ネコ娘は何から考えていいのかすらわからずに、
ただただ口をパクパクさせるだけだった。
「あっ、来たみたいだ。」
そう言った横顔の先には、
こちらに向かって手を振りながら走ってくる少女の姿があった。
それを確認した鬼太郎は、じゃあと短い挨拶を残し少女の元へと歩いて行った。
ネコ娘はただ呆然と去っていく二人を見つめるだけだった。

頭の中が真っ白だった。

「・・・鬼太郎に・・・彼女・・・?」
少しづつ思考を取り戻したネコ娘は、力なくその場にへたりこんだ。
そしてすぐに景色が滲みだす。
「・・・ふっ・・・ひっく・・・嘘・・・でしょ?
もう、側にいられないの・・・?」
そう口に出せば、大粒の涙が次から次へと地面を濡らしていく。
「うぅっ・・・ふっ・・・きたろぉ・・・。」




・・・すめ・・




・・こ・・・むすめ・・・

 

 

「ネコ娘!」

 

 

突然すぐ近くで名前を呼ばれて、ネコ娘は目を開けた。
すると目の前に鬼太郎の心配そうな顔があった。
「きたろ・・・?どうして・・・。」
そこまで言って、自分が仰向けになっていることに気付いた。
「あれ・・・、あたし・・・。」
頬の冷たさに手をやれば、未だ乾かぬ涙の痕があった。
「ネコ娘、大丈夫かい?」
見れば心底心配そうに鬼太郎が見つめていた。
「嫌な夢を見たみたいだね。」
「・・・夢?」
いまいち現状が把握できないネコ娘に、鬼太郎が優しく口を開いた。
「君は戦いの最中、敵の攻撃に倒れて3日も眠っていたんだよ。」
「・・・そう、だったの・・・。じゃああれは・・・。」
あまりにも悲しい夢だった。
夢でよかった。
ネコ娘はやっと一息つき、体を起こした。
が、
「つっ・・・!」
背中に激痛が走った。
倒れそうになる背中を鬼太郎が支える。
「ネコ娘、まだ痛むかい?」
「・・・うん、心配かけてごめんね。」
「君は女の子なんだから、あんまり無茶しないでよ。」
鬼太郎は眉を下げ半ば訴えるようにそう言う。
しかしネコ娘にしてみれば女の子だと思ってくれていることが嬉しいのと、
背中を支えられているせいで、顔の距離が近いことにドキドキしてしまう。
だがすぐにさっき見た夢を思い出す。
あれは夢。
でも、現実に起きないとも限らない。
そう思うと自然に手が伸びる。
「ネコ娘・・・?」
遠慮がちに学童服の胸の辺りに置かれた手を、鬼太郎は不思議そうに見つめた。
「鬼太郎・・・。」
名前を呼ばれて顔を上げれば、潤んだ瞳で見つめられていた。
「ネコ・・・娘・・・?」
キラキラと輝くその大きな瞳から目が離せなかった。
「あたし・・・鬼太郎の側にいたいの・・・。」
ネコ娘はそう言ってゆっくりと鬼太郎の胸に顔を寄せた。
「ネコ娘っ・・・。」
突然のことに鬼太郎は慌てたが、すぐにその肩が震えていることに気付いた。
離ればなれになる夢でも見たのだろうか?
そんなふうに考えて、鬼太郎はそっと肩に腕を回し、
もう一方の手で優しく頭を撫でた。
「大丈夫。君を残して何処かに行ったりしないよ。」
まるで子供をあやすように、鬼太郎は静かにそう囁いた。
それを聞いて、ネコ娘はゆっくりと顔を上げた。
「鬼太郎・・・ありがとう・・・。」
そう言って微笑めば、鬼太郎も釣られて笑顔になる。
「さぁ、もう少し休んだほうがいい。」
ネコ娘の体をゆっくりと寝かせて、布団を掛けてやる。
「・・・ねぇ鬼太郎、眠るまでそこにいてくれる・・・?」
遠慮がちにそう言えば、鬼太郎は優しく微笑む。
「僕は此処にいるよ。」


ずっとずっと君の傍に・・・

 

 

 

風流さんよりいただいたリクエスト「人間の女の子に本気で恋する鬼太郎」

お待たせした上にこんなんで申し訳ないですm(_ _)m

ssもしばらく書かないとどうにもうまく書けなくて^^;;;

こんなんで許していただけるでしょうか???

もしよろしければ風流さんのみお持ち帰りくださいませm(_ _)m

リクエストありがとうございました!!

 

 

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