それは何かにつけて騒ぎたがる妖怪たちによる宴会でのこと。
「もぉ~!大体鬼太郎は乙女心がわからなすぎなのよ!」
「乙女心って・・・・。ネコ娘はまだ子供じゃないか。」
「にゃっ!?こっ、子供じゃないもんっ!!」
「ふ~ん。」
「っ!!信じてないのね!?いいわ!証明してあげる!」
なんでこうなったのか、今日は僕も少し酒が回っていたようだ。
そんな言い争いの末、僕はネコ娘に引っ張られるようにゲゲゲハウスまで連れてこられた。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
部屋に入るなり、僕は床に腰を下ろした。
でも、ネコ娘は突っ立ったままだった。
「・・・で、どうやって証明してくれるんだい?」
そう言えばネコ娘を困らせるだけだとわかっていたのに、なぜか今日は困らせてみたかった。
「っ・・・・・。」
案の定、ネコ娘は頬を赤くして固まってしまった。
証明するとは言ったものの、自分でもどうしたらいいかわからないのだろう。
まったく・・・・、これが僕じゃなかったらどうするつもりなんだろう。
いつもなら僕も軽く受け流せるのに、今日は飲みすぎた。
僕は小さく息を吐いて、
「おいで、ネコ娘・・・。」
そう静かに呼んだ。
それを聞いて、ネコ娘はびっくりしたのか大きな目を更に大きくした。
「証明してよ・・・・。子供じゃないんだろう?」
子供という言葉に一瞬眉を寄せる。
そして何かを決意したようにおずおずとこちらに近寄ってきた。
そして、手の届く距離までくると、僕はネコ娘の手を引いた。
「きゃっ!」
急に引っ張られて体勢を崩したネコ娘は、小さく声をあげて僕の腕の中に収まった。
「・・・き・・・きたろ・・・・?」
普段素っ気なく接しているせいで、ネコ娘にはこの状況が信じられないようだった。
「ネコ娘、子供じゃなかったらこれからどうするか知ってるよね?」
そう耳元で囁けば、ネコ娘はその肩をビクッと震わせる。
「・・・それとも、僕じゃイヤかな?」
「っ!!ちがっ・・・・!!き・・・鬼太郎が・・・いいの・・・・。」
最後は甘えるように小声で呟いた。
いじめてたはずなのに、追い詰められたのは僕のほう。
「そう・・・よかった。
ほら、顔あげて、ネコ娘・・・・。」
そう言って顎に手をかければ、潤んだ瞳で君が見つめる。
あぁ、ごめんよ、ネコ娘。
君は確かにもう子供じゃないよ。
だからもう逃がさない・・・・。
僕はその桃色の唇を塞いだ・・・。
終