永遠を共に

 

火車の濡衣も晴れ、横丁のメンバーが散々になる中、
目玉おやじは未だ輪入道と話しこんでいた。
そのため、鬼太郎とネコ娘は先にゲゲゲハウスへと帰ってきた。

「それにしても、今日の鬼太郎カッコよかった~!」
「そんなに火車が気に入ったのかい?」
「違うわよ!積極的な鬼太郎がって意味!」
見当違いな受け答えに、ネコ娘はそう言い返す。
「う~ん、そんなに積極的なほうがいいのかい?」
鬼太郎は手を顎にやり、考えている。
「そりゃ~、火車の半分でもそうなってくれたら・・・んにゃっ!?」
そうなってくれたら嬉しい。
そう言おうとしたところ、突然鬼太郎の両手がネコ娘の柔らかな頬を包んだ。
「きっ・・・きたろ・・・?」
突然のことに慌てるネコ娘をよそに、鬼太郎の顔が近づいてくる。
そしてすぐ目の前にはたった一つの大きな目。

「僕が積極的になっても、君は逃げずにいてくれるかい・・・?」
低く静かにそう言うと、吐息がかかるほど唇が近づく。
「き・・・。」
「なんてね。」
「・・・へ?」
見れば鬼太郎の手は離れ、クスクスと笑いを堪えている。
ネコ娘は顔を真っ赤にしたまま、呆然としていた。
数秒の後、からかわれたことに気付き更に顔を赤くした。
「・・・ニャーーーー!!!鬼太郎のバカーーーー!!」
恥ずかしさと怒りでその場にいられなくなり、ネコ娘は脱兎の如く家を飛び出し去っていった。

残された鬼太郎は、一人フゥと小さく息をついた。
(積極的になって、君に拒まれたり逃げられたりするのが怖いなんて、君にはわかんないよね。)
そう心で呟いて、自分の手の平に視線を落とす。
手にはさっきまで包んでいた、ネコ娘の滑々の頬の感触が残っていた。
(たったこれだけでドキドキするのに、君に
触れる勇気は今の僕にはないよ・・・。)
そんなふうに考えて、鬼太郎は苦笑いする。


焦る必要なんてないさ。
ゆっくり想いを育てていこう。
僕たちは永遠を
生きるのだから。

 

 

 

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