透明な君へ

今日も朝からバイトなのに、その前にここへ来て僕と父さんの朝ご飯を用意する。

寝不足なのか目が少し赤いけど、君はいつものように元気な様子で、

「じゃあ行ってくるね!ちゃんと食べて、洗わなくてもいいから桶につけておいてね!」

と、人差し指を立てる。

「あぁ。」

と短く返事を返せば納得したのかくるりとスカートを翻し、出掛けていく。


そうやって色んなバイトをするのは、もちろん欲しいものもあるだろうけど、

人間界での異変をいち早く僕に伝えるためだろう。

なかなか口には出せないけど、いつも感謝しているよ。

だけどね、いくら妖怪とはいえ少し心配になるよ。

一生懸命な君だから、無理してるんじゃないかって。

真っ直ぐな君は好きだけど、いつか壊れてしまわないかって。

僕がこんなふうに不安になるって、君は知らないだろうね。

普段は素っ気ないかもしれないけど、ピンチのときはすぐに君の元へ行くよ。

君の守りたいものは、僕が全部守ってみせる。

だから、君はいつでもそうやって、幸せそうに笑っていて。

君が笑えば、僕の心は温かい光で満たされていく。

だからずっと傍にいて、その透明な羽で僕を包んでいて・・・。

P6020982.JPG

 

 

TOPへ   展示部屋へ