今日も朝からバイトなのに、その前にここへ来て僕と父さんの朝ご飯を用意する。
寝不足なのか目が少し赤いけど、君はいつものように元気な様子で、
「じゃあ行ってくるね!ちゃんと食べて、洗わなくてもいいから桶につけておいてね!」
と、人差し指を立てる。
「あぁ。」
と短く返事を返せば納得したのかくるりとスカートを翻し、出掛けていく。
そうやって色んなバイトをするのは、もちろん欲しいものもあるだろうけど、
人間界での異変をいち早く僕に伝えるためだろう。
なかなか口には出せないけど、いつも感謝しているよ。
だけどね、いくら妖怪とはいえ少し心配になるよ。
一生懸命な君だから、無理してるんじゃないかって。
真っ直ぐな君は好きだけど、いつか壊れてしまわないかって。
僕がこんなふうに不安になるって、君は知らないだろうね。
普段は素っ気ないかもしれないけど、ピンチのときはすぐに君の元へ行くよ。
君の守りたいものは、僕が全部守ってみせる。
だから、君はいつでもそうやって、幸せそうに笑っていて。
君が笑えば、僕の心は温かい光で満たされていく。
だからずっと傍にいて、その透明な羽で僕を包んでいて・・・。
終